
前処理トリートメントとは、カラー・パーマ・縮毛矯正などの薬剤を塗る前に、髪の傷んだ部分を補修・保護し、髪の状態を均一に整えるサロンケアのことです。薬剤の浸透ムラを防いで発色やパーマのかかり具合を安定させ、施術によるダメージを最小限に抑える目的で行います。メニュー表や伝票では「前処理」「前処理tr」「プレトリートメント」などと表記され、施術の後に行うケアは「後処理(アフタートリートメント)」と呼んで区別します。
「前処理」「後処理」とは何か
美容室でカラーやパーマを受けるとき、スタイリストから「前処理・後処理もつけますか?」と提案されたことがある方もいると思います。これらは施術によるダメージを最小限に抑え、仕上がりを向上させるための工程で、自宅ではできない美容室ならではのケアです。
なぜ前処理が必要なのか|施術別の理由
カラーの場合|発色ムラを防ぐ
カラー剤は髪の内部に色素を届けて発色させるため、部分ごとにダメージ差があると色の入り方・抜け方にムラが出ます。前処理で傷んだ部分を補っておくと、根元から毛先まで色が均一に入りやすくなり、色持ちも安定します。
パーマの場合|かかりムラを防ぐ
パーマ液は健康な部分にはかかりにくく、傷んだ部分には強く作用しやすい性質があります。前処理で髪のコンディションをそろえることが、かかりムラや毛先の「かかりすぎ」を防ぐ近道です。
縮毛矯正の場合|ビビリ毛を防ぐ
縮毛矯正は薬剤と熱の両方を使う、髪への負荷が大きい施術です。ダメージ部分に薬剤が効きすぎるとビビリ毛(チリチリになった状態)のリスクが高まるため、前処理で髪の内部を補い、土台を整えておくことが特に重要です。
前処理トリートメントの役割

前処理は、カラー剤やパーマ液を使用する前に行うトリートメントです。主な目的は以下のとおりです。
1. 髪の均一化(前処理コーティング)
髪の状態は一本一本異なります。傷んだ部分と健康な部分が混在していると、薬剤の浸透にムラが生じ、カラーの発色不良やパーマのかかりムラにつながります。前処理を行うことで、髪の状態を均一に整え、薬剤が均一に作用するようになります。
2. ダメージの事前緩和
健康な髪に比べ、ダメージを受けた髪はキューティクルが傷んでいるため、薬剤が過剰に浸透しすぎることがあります。前処理トリートメントでダメージ部分を補修・コーティングすることで、過剰なダメージを防ぎます。
3. 発色の向上
カラー剤は髪の中に色素を定着させますが、髪の状態が悪いと定着しにくく、思ったような発色になりません。前処理で髪を整えることで、発色が安定します。
前処理剤の主な種類と成分
前処理に使われる代表的な成分と働きは次のとおりです。サロンによって使用する薬剤は異なりますが、考え方は共通です。
| 成分・種類 | 主な働き | 特に向いているケース |
|---|---|---|
| PPT(ポリペプチド) | 小さな分子のタンパク質で髪内部を補修する | カラー・ブリーチ毛の内部補修 |
| ケラチン | 髪の主成分に近いタンパク質を補い、ハリ・コシを支える | 軟毛・エイジング毛・縮毛矯正前 |
| CMC(細胞間脂質) | 髪内部の水分や薬剤の通り道を整え、保水力を高める | パサつき・乾燥毛・浸透ムラ対策 |
| 酸性アミノ酸 | キューティクルを引き締め、薬剤の過剰な浸透を防ぐ | ハイダメージ部分の保護 |
| プレックス系(ボンド系) | 薬剤処理で切れやすい髪内部の結合を守る | ブリーチ・ハイトーンカラー |
詳しくはプレックス系トリートメントの仕組みと効果、PPT・プロテイン補修トリートメントの選び方でも解説しています。
「前処理tr」——メニュー・伝票表記の読み方
メニュー表やレシート、予約サイトでは、前処理・後処理が略語で書かれていることがよくあります。
| 表記例 | 意味 |
|---|---|
| 前処理tr/前処理TR | 前処理トリートメントの略(tr=トリートメント) |
| プレトリートメント/プレ処理 | 前処理と同じ意味 |
| ケラチン前処理/PPT前処理 | 使用する成分を明記した前処理 |
| 中間処理 | パーマ・縮毛矯正の1剤と2剤の間に行う処理 |
| 後処理/アフタートリートメント | 施術後に行う仕上げの処理 |
分かりにくい表記があれば「これは何のための工程ですか?」と遠慮なく聞いてください。納得して選んでいただくほうが、私たち美容師もうれしいです。
後処理トリートメントの役割
後処理は、カラー剤やパーマ液の使用後・洗い流し後に行うトリートメントです。
1. アルカリを除去する(酸リンス・中間処理)
カラー剤やパーマ液は一般的にアルカリ性です。施術後、髪のpHがアルカリ性に傾いたままだと、キューティクルが開いた状態が続き、色素が逃げやすく、ダメージが進行します。後処理で酸性の薬剤(酸リンス)を使ってpHを中性〜弱酸性に戻すことで、キューティクルを閉じてダメージの広がりを防ぎます。
2. 残留アルカリ・残留チオグリコール酸の除去
パーマ液に含まれるチオグリコール酸などの成分が髪に残留すると、酸化が進んでダメージが拡大します。後処理(酸化補助剤)でこれらの残留成分を中和・除去します。
3. 補修・保湿・艶出し
後処理トリートメントには補修・保湿成分が含まれているものも多く、施術直後の傷んだ髪を即座にケアし、仕上がりのツヤや手触りを向上させます。
前処理と後処理の違い【比較表】
| 項目 | 前処理トリートメント | 後処理トリートメント |
|---|---|---|
| タイミング | 薬剤を塗る前 | 薬剤を洗い流した後 |
| 主な目的 | 髪の均一化・保護・仕上がりの底上げ | アルカリや残留成分の除去・ダメージ進行の抑制 |
| 主な成分 | PPT・ケラチン・CMC・プレックス系など | 酸リンス・酸化補助剤・補修保湿成分など |
| 実感しやすい効果 | 発色やかかり具合の均一さ | 手触り・ツヤ・色持ち |
| 例えるなら | 下地を整える「攻め」のケア | 仕上がりを守る「守り」のケア |
役割が違うため、どちらか一方で置き換えられる関係ではありません。ハイダメージ毛や色持ちを重視する方には、セットでの利用をおすすめすることが多いです。サロントリートメント全体は美容室のトリートメントの種類と効果も参考にしてください。
料金と所要時間の一般的な目安
サロンや使用する薬剤によって差がありますが、一般的な目安は次のとおりです。
| 項目 | 料金の目安 | 追加の所要時間 |
|---|---|---|
| 前処理トリートメント | 500〜2,000円程度 | 5〜15分程度 |
| 後処理トリートメント | 500〜1,500円程度 | 5〜10分程度 |
| 前処理+後処理のセット | 1,000〜3,000円程度 | 10〜20分程度 |
施術料金にあらかじめ処理剤が含まれているメニューや、システムトリートメントの一部に組み込まれている場合もあります。金額よりも「いまの髪の状態に必要かどうか」で判断するのがおすすめです。
前処理・後処理が必要な人、なくても大きく変わらない人
すべての施術で必須というわけではなく、必要度は髪の状態と施術内容で変わります。
特におすすめしたいケース
- ハイダメージ・ブリーチ毛にカラーやパーマをする場合
- 根元と毛先のダメージ差が大きく、発色ムラ・かかりムラが出やすい方
- ブリーチ・高脱色カラーやパーマの後(アルカリや残留成分の除去が急務)
- カラー後の色持ちを重視する方
- 縮毛矯正とカラーを併用している方、エイジングで髪が細くなってきた方
正直、優先度が低いケース
- 施術履歴のない健康な髪(バージン毛)に、初めてダメージの少ないカラーをする場合
- 健康な根元部分だけを染めるリタッチカラー
- こまめにカットする[ショートヘア](/column/bold-short-hair-change-success-guide-2026-05-03)で、傷んだ部分が残りにくい方
- ヘアマニキュアなど、髪の内部にほとんど作用しない施術
こうしたケースでは、無理にオプションを追加するより、その予算を自宅用のトリートメントに回したほうが満足度が高いこともあります。
美容師への相談の仕方・断り方
「提案されたら断りにくい」という声をよくいただきますが、次のような伝え方で大丈夫です。
- 「今日は予算を〇〇円以内に収めたいので、必要なものだけ提案してください」
- 「前処理は今回は見送って、仕上がりを見てから次回考えたいです」
- 「ブリーチをしたことがあるので、必要な処理があれば理由も教えてください」
断っても施術が雑になることはありませんし、気まずく思う必要もありません。ただし、ブリーチ毛への縮毛矯正のようにリスクの高い施術では、安全のために処理剤をセットでご提案する場合があります。その際は理由もあわせて説明しますので、納得したうえで選んでください。過去の施術履歴(ブリーチ・黒染め・縮毛矯正など)を伝えていただけると、前処理の要否をより正確に判断できます。
自宅でできる「疑似前処理・後処理」
サロン施術ではなく、日常ケアとして取り入れられる方法もあります。
シャンプー前のオイルケア(プレオイルトリートメント) シャンプー前に少量のオイルを髪に塗布することで、シャンプーによる過乾燥を防ぎます。洗い流す際に余分な皮脂や汚れを包み込んで落とす効果もあります。
低pHシャンプー・弱酸性シャンプーの使用 日常的に弱酸性シャンプーを使うことで、毎日のシャンプーのたびにキューティクルを整え、カラーや施術後の状態を維持しやすくなります。
洗い流すトリートメントの丁寧な使用 シャンプー後のトリートメントは「後処理の代わり」にはなりませんが、定期的な補修ケアとして毎日継続することで、髪のコンディション維持に大きく貢献します。
よくある質問
Q. 前処理トリートメントとは何ですか? A. カラーやパーマなどの薬剤を塗る前に、髪の傷んだ部分を補修・保護して状態を均一に整えるサロンケアです。薬剤の浸透ムラを防いで発色やかかり具合を安定させ、施術によるダメージを抑える目的で行います。
Q. メニューや伝票にある「前処理tr」とはどういう意味ですか? A. 「前処理トリートメント」の略表記です。「tr」はトリートメントを指し、「プレトリートメント」「プレ処理」と書かれている場合も同じ意味です。
Q. 前処理と後処理は、どちらか一方だけでも意味がありますか? A. あります。前処理は発色やかかり具合の均一さを高め、後処理はアルカリなどの残留成分を除去してダメージの進行を抑えます。役割が異なるため、どちらを優先するかは髪の状態を見た美容師に相談するのが確実です。
Q. 前処理トリートメントの料金はどのくらいかかりますか? A. サロンによりますが、一般的には前処理・後処理それぞれ500〜2,000円程度、セットで1,000〜3,000円程度が目安です。施術料金にあらかじめ含まれているメニューもあります。
Q. 前処理を断ったら仕上がりは悪くなりますか? A. 健康な髪であれば大きな差が出ないことも多く、断っても問題ありません。一方、ブリーチ毛やダメージの進んだ髪では発色ムラ・かかりムラのリスクが上がるため、髪の状態に応じて判断するのがおすすめです。
「カラーをしても色持ちが悪い」「パーマが取れやすい」という方は、前処理・後処理が不足している可能性があります。Costa hairでは施術の質を高めるためのケアオプションもご用意しています。サロンカウンセリングの際にお気軽にご相談ください。
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