
「白髪を抜くと増える」はよく聞く噂だが医学的根拠はない
美容室でお客様からよく受ける質問のひとつに「白髪を抜くと、そこから何本も生えてきて増えるって本当ですか?」というものがあります。結論から言うと、これは医学的な根拠のない俗説です。1つの毛穴(毛包)から生えてくる毛髪の本数は基本的に1本と決まっており、1本の白髪を抜いたからといって、その毛穴から複数の毛が生えてくることは起こりません。
この噂が広まった背景には、白髪が増え始める年代(30代後半〜40代以降)に「白髪を見つけて抜く」という行為をする人が増えることと、加齢によって自然に白髪の本数が増えていく時期が重なっていることがあると考えられます。つまり「抜いたから増えた」のではなく「もともと増える時期に抜いていた」という因果関係の誤解が定着してしまったケースです。
白髪が増える本当の原因

白髪は、毛根にある「メラノサイト」という色素細胞がメラニン色素を作れなくなることで発生します。メラノサイトの働きが低下する主な原因は以下のようなものが挙げられます。
- 加齢によるメラノサイトの機能低下(最も一般的な原因)
- 遺伝的な要因(家族に白髪が多い人は出やすい傾向)
- 強いストレスや自律神経の乱れ
- 栄養不足(タンパク質・鉄分・ビタミンB群・銅・亜鉛など)
- 睡眠不足や生活習慣の乱れ
- 一部の疾患やホルモンバランスの変化
これらの要因は毛穴単位ではなく、頭皮全体・体全体に影響するため、1本の白髪を抜いたことが他の毛穴のメラノサイトに影響を与えることはありません。増える・増えないは、抜く抜かないとは別の要因で決まっているというのが実態です。
それでも「白髪を抜く」のはおすすめしない理由
「抜いても増えない」とはいえ、美容師の立場からは白髪を自分で抜く習慣はおすすめしていません。理由は次の通りです。
- 毛根や毛穴への物理的ダメージ: 無理に引き抜くことで毛根周辺の組織を傷つけ、炎症を起こすことがあります。繰り返すと毛穴が変形し、将来的にその部分の毛が生えにくくなる可能性があります。
- 頭皮の炎症・毛嚢炎のリスク: 抜いた部分の毛穴から雑菌が入り込み、赤みやかゆみ、毛嚢炎(もうのうえん)と呼ばれる炎症を起こすことがあります。
- 地肌が目立ちやすくなる: 特に分け目やつむじ周辺で頻繁に抜いていると、その部分だけ密度が下がって地肌が透けて見えやすくなります。
- 抜く手間と時間が積み重なる: 白髪が増えてくると、抜く本数もどんどん増えていき、鏡の前で長時間過ごすことになりがちです。根本的な解決にはなりません。
白髪が気になったら、抜くのではなく「根元近くでカットする」のが頭皮への負担が少ない対処法です。ハサミが使いにくい場合は、次回の来店時に担当スタイリストに伝えておけば、カットの際にまとめて処理してもらうこともできます。
サロンでできる白髪との付き合い方
白髪の量や生え方は人それぞれで、抜く以外にもいくつかの選択肢があります。
- グレイカラー(白髪染め): 根元の白髪をなじませる定番の方法です。染める頻度や色の入れ方は髪質や生えるスピードによって個人差があるため、担当スタイリストと相談しながら自分に合ったサイクルを見つけることが大切です。
- 白髪ぼかしハイライト: 白髪を完全に染めるのではなく、周囲の髪色に馴染ませるようにハイライトを入れて目立ちにくくする方法です。根元の伸びが気になりにくいというメリットがあります。
- あえて活かす(グレイヘア): 白髪を無理に染めず、自然な色味として活かすスタイルを選ぶ方も増えています。この場合はカットやトリートメントで質感を整えることが仕上がりの印象を大きく左右します。
どの方法が合っているかは、白髪の量・生えている部分・髪質・普段のスタイリングの好みによって変わります。迷ったときは自己判断で抜いたり市販の白髪染めを繰り返したりする前に、担当美容師に頭皮や髪の状態を見てもらいながら相談するのがおすすめです。
まとめ
「白髪を抜くと増える」というのは科学的な裏付けのない噂で、1つの毛穴から生える毛の本数が抜いたことによって増減することはありません。ただし、繰り返し抜く習慣は毛根や頭皮を傷つけ、炎症や毛穴の変形につながるリスクがあるため避けたほうが賢明です。白髪が気になったら、抜く代わりに根元でカットする、サロンでのグレイカラーや白髪ぼかしを取り入れるなど、頭皮に負担をかけない方法を選びましょう。白髪との付き合い方に迷ったときは、自己判断だけで対処せず、担当美容師と一緒に自分に合ったペースを見つけていくことをおすすめします。
よくある質問
Q. 白髪を1本だけ見つけたら、抜いてもいい?
1本だけであれば毛穴へのダメージも限定的ですが、習慣化すると同じ部位を繰り返し刺激することになります。気になる場合は、抜くよりも根元近くで短くカットする方法を選ぶと頭皮への負担を抑えられます。
Q. 白髪染めを始めるタイミングの目安は?
明確な基準はありませんが、白髪が全体の1〜2割程度見え始め、分け目や前髪まわりで目立つようになったタイミングで検討する方が多い印象です。染める・染めないは個人の好みの問題でもあるため、焦る必要はありません。気になり始めたら、担当スタイリストに頭皮や髪質を見てもらいながら相談するとよいでしょう。
Q. 白髪ぼかしと通常のグレイカラーはどちらがいい?
根元の伸びが目立ちにくい状態を長く保ちたい方には白髪ぼかしハイライトが向いていることがあります。一方で、白髪をしっかりカバーしたい方には通常のグレイカラーが適している場合が多いです。白髪の量や生え方、来店できる頻度によって最適な方法は変わるため、実際の髪を見てもらいながら決めるのが確実です。
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