
美容師の仕事道具の中でも、ハサミ(シザー)は最も重要な投資のひとつです。1本あたり数万円〜十数万円するシザーを長く使い続けるためには、日々のメンテナンスが欠かせません。コスタヘアーでも、特に新人スタイリストがシザーの扱い方について知識不足で困っているケースがあります。本記事では、シザーをはじめとした美容師の道具の正しいメンテナンス方法と管理術を解説します。
シザー(ハサミ)のメンテナンス
毎日のお手入れ
1. 使用後の汚れ除去
施術が終わった後、シザーに髪の毛・水分・カラー剤・ヘアオイルなどが付着していることがあります。これをそのまま放置すると、切れ味の低下・サビ・刃の腐食につながります。
- 使用するもの: シザー専用のクリーニングクロス(マイクロファイバー素材推奨)
- 方法: 刃先を手前にして、上から下へ一方向に拭く。往復拭きは刃を傷める可能性があります
- 注意点: 素手で刃先を触らないようにする(指紋の油分が錆びの原因になります)
2. 注油(ネジ部分への油さし)
シザーの動作を滑らかに保つため、1日1〜2回の注油を習慣にしましょう。
- 使用するもの: シザー専用オイル(ミシン油ではなく、シザー専用品を使う)
- 方法: ネジ(ピボット)部分に1〜2滴たらし、刃を数回開閉させてオイルを馴染ませる
- 残ったオイルの処理: 余分なオイルはクロスで拭き取る(べたついたまま放置すると汚れが付着しやすくなる)
週次・月次のメンテナンス
シザーケースの清掃
シザーケースの内側に髪くずや汚れが蓄積します。1週間に1度、内側を軽くブラッシングまたは柔らかい布で拭いておきましょう。
ネジの締め具合を確認
シザーのネジが緩いと刃がぐらつき、切れ味が落ちます。専用のネジ回しで適切な締め具合に調整します。目安: シザーを水平に持ち、片方の刃を開いて離したとき、刃がゆっくり閉じながら止まる程度の締め具合が理想です。
シザーを研ぎに出すタイミング

研ぎのサイン
以下の症状が出始めたら、研ぎに出すサインです。
- 毛が「切れる」ではなく「引っかかる感じがある」
- 毛が折れたり、毛先が白くなる(「白くなる」は刃の損傷サイン)
- 毛が「押されて逃げる」感覚がある
- カットに力が必要になってきた
研ぎの頻度の目安
毎日フルタイムで使用する場合、半年〜1年に1回を目安に研ぎに出す美容師が多いです。ただし使用頻度・カットスタイル(ウェットカット中心か、ドライカット中心か)によって異なります。ウェットカット(濡れた状態で切る)は刃への負担が小さく、ドライカット(乾いた状態で切る)は負担が大きくなります。
研ぎ師の選び方
シザーは素人が砥石で研ぐことはできません。シザーメーカー純正のメンテナンスサービスか、プロのシザー研ぎ師に依頼するのが基本です。
確認すべきポイント:
- シザーのブランドや素材に対応しているか
- 研ぎ後にオイルアップ・ネジ調整まで含まれているか
- 研ぎ後の刃の確認ができるか
コーム・ブラシのメンテナンス
毎日のお手入れ
コーム(くし)
- 使用後に付着した髪の毛を取り除く
- 1日の終わりに水で洗い、乾燥させる
- カラー剤が付着した場合は専用クリーナーで落とす(プラスチックコームはアルコールで変形・変色する可能性があるため確認が必要)
ブラシ(クッションブラシ等)
- ブラシ内に残った毛をピン(または古いコームの先端)でかき出す
- 週1〜2回、ぬるま湯で洗い、軽くシャンプーをつけて洗浄。よくすすいで自然乾燥させる
- 完全に乾く前に重ねて置くとカビの原因になるため、立てて乾燥させる
ドライヤー・アイロンのメンテナンス
ドライヤー
フィルター清掃が最重要
ドライヤーの吸気口フィルターにホコリが溜まると、モーターに負荷がかかり故障の原因になります。1〜2週間に1度、フィルターを取り外してホコリを除去しましょう。
- 取り外し方はメーカー・機種によって異なるため説明書を確認
- ブラシや乾いた布でやさしく払い落とす
- 水洗いの可否もメーカーの指示に従う
コードのチェック
コードが折れ曲がったまま使い続けると内部断線が起きます。コードは毎回まっすぐに巻いて保管しましょう。
アイロン(コテ・ストレートアイロン)
- 使用後: 完全に冷めてからクロスで軽く拭く(熱いうちに拭くと火傷・クロスの損傷の危険があります)
- プレート: カラー剤や整髪料が焦げついている場合、アイロン専用クリーナーを使用。激落ちくんなどのメラミンスポンジは傷をつけるため使用不可
- コードの管理: ドライヤーと同様、まっすぐ巻いて保管する
シザーの保管と持ち運び
保管の基本
- 乾燥した場所に保管: 水回り近くや湿気の多い場所はサビの原因になります
- ケースに入れる: ポーチやシザーケースに入れ、他の道具と一緒に無造作に入れないこと
- 重ねて置かない: シザー同士を重ねて保管すると刃が欠ける可能性があります
持ち運び時の注意
出張や外部研修でシザーを持ち運ぶ際は、ハードタイプのシザーケースを使用しましょう。軽量のポーチタイプは刃先が当たって欠けやすいです。
飛行機で持ち運ぶ場合は、刃渡りによって預け手荷物扱いが必要になる場合があります。航空会社のルールを事前に確認してください。
コスタヘアーのスタッフへの道具教育
コスタヘアーでは、アシスタントが入社後の研修期間中に道具の正しい扱い方・シザーのメンテナンス方法・コムや備品の管理方法を学ぶ機会を設けています。高い道具を長く使い続けることは、コスト管理だけでなく施術品質の維持にも直結します。
美容師の道具は「仕事のパートナー」です。日々のメンテナンスを習慣にすることで、長く・気持ちよく使い続けることができます。
まとめ
美容師のシザーは毎日の拭き取りと注油、定期的な研ぎの依頼で切れ味を長く維持できます。コームやブラシは週1〜2回の洗浄、ドライヤーはフィルター清掃、アイロンはプレートの焦げ取りが基本のメンテナンスです。どの道具も「乾燥」「清潔」「適切な保管」の3つを意識することで、長く良い状態を保つことができます。
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